これは、アーティスト小林健二の作品世界に常に秘められてきた創造の源に迫ると共に、現在に至るまでの軌跡を辿る本です。そこには、ひとりの表現者の生き方が浮かび上がっています。
小林の作品世界の源流とも言える15歳の頃に見た幻のようなものについて深く掘り下げ、小林への取材をもとにした当時の状況等をまとめた文章、当時の小林の覚書ノートに記されている言葉、また小林自身による図説などを掲載し、様々な方向から光をあてています。さらに、小林に表現者としての使命を覚えさせたと考えられる「ひかり」の夢を中心に、小林の作品世界の解説を試みています。
また、小林の作品世界の背景には、鉱物や星など透明なものへの志向性や怪物への想いなど幼少の頃から表れて今に至る本性からのものがあります。よって、これまで秘められてきた小林のおいたちも、その内面に焦点を当てながら明らかにし、作品世界に関わる背景に初めて言及しています。
1957年から「ひかり」の夢を見た15歳頃(1972年)までを、内面に焦点を当て、作品の生まれる背景を探りながら著述しています。展覧会〈ひかりさえ眠る夜に〉のテーマとなった15歳の幻について、ここでは当時の状況や、小林にとってそれがどのように受けとめられたかに触れています。
[目次]1.原体験の初め/2.物的霊性/3.透明な世界/4.青い心象/5.天然の神秘に出合えるところ/6.物質の記憶/7.目に見えないひそやかな世界/8.工作の楽しみ/9.彼を支えたもの/10.真なる何か、そして美しさを感じさせるもの/11.素材と工具への想い/12.神話的造形の源/13.青い土星/14.15歳の幻/15.「ひかり」の夢を見つめて/16.「の川を渡れる日」
高校卒業後独学を続け、アトリエを持ち初期の展覧会を開催する頃までをまとめています。将来への強い不安の中にいる10代後半から20代前半にかけ、小林が自らの道を模索しながらどのように今に至る土台を作り上げていったかを記しています。その他インタビューにより、アルバイトで溶接などの技術を身に付けながら古典絵画技法を学び、絵具やキャンバス、筆やパレット等々を自作して行った過程や、初期の作品に見られる自漉洋紙による技法を開発して行った経緯など、当時の状況を伝えています。
テーマ毎に作品を解説し、小林の作品世界の全貌に迫ります。
1.〈ひかりさえ眠る夜に〉の光彩(「ひかり」の夢を通して選んだ作品を解説)/2.鉱物の想い、天体の祈り(鉱物と天体、鉱石ラジオの世界に関連する作品の解説)/3.展覧会〈黄泉への誓〉/4.展覧会〈夜と息〉/5.Hidden Place:隠されている場所(「隠されている場所」に関わる作品の解説)/6.光の中に憩うもの(小林のテーマの一つである「怪物」を通して表された作品世界の解説) ほか
小林のイメージの独自性と共に、それら心の中にあるものを目に見える形にする技術も、物質に備わっている精神性を感じ取らせるという点で、多くの人を惹きつけています。ここでは、作品制作風景を記録した未公開写真や当時の関連資料等により制作の背景を紹介しています。
1957~1972年までは略歴を、1973~2008年は、年代ごとに作品リストと展暦、作品に関連すると考えられる出来事やエスキス等を作品写真と共に掲載し、作品世界の流れを概観できるよう構成しています。
小林独自の作品世界の源流と考えられる世界観について、小林自身による図解等を中心に説明しています。また15歳~16歳頃に書いた物語集『天使になった恋人たちのガラスのような物語』など、未公開資料も含めたこれまでの関連資料をまとめています。
参照資料(取材記事、小林の著述文、エスキス帳からの抜粋、またインタビュー等、上記までの原稿中に併載しなかったもの)
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